「陽太、昼練行こうぜ!」


「陽太!」


たくさんの男子が陽太のところに駆け寄る。陽太は立ち尽くし、下を向いたままだった。


「陽太?」


「うっせぇんだよ!!」


廊下で大声を上げた陽太に周囲は驚いて見る。


「お前らなんか……大嫌いだ!!」


そう言って、陽太は駆け出した。そんな陽太を見た男子は座り込む。


「陽太に裏切られた……?」


清香は遠くで男子が唖然としているところを見ていると、陽太がこちらに駆け寄って来た。


「お前が殺れ」


陽太が隣でそう言った。清香は男子共のところに行く。


「人の悪口を言った罰よ」


清香は男子たちにさらっと言った。男子共は後ろに後退りする。


「人のことを嘲笑うなんてことをしたから神様が怒ったのよ。まぁ、この世界に神は居るかなんて知らないけど」


清香の言葉は聞いて、男子はハッとする。栞奈のことだと気づいたからだ。


「ごめんなさい……」


男子たちが口々とそう呟いた。廊下に木霊して気持ち悪い。


「陽太。行きましょう」


「ああ、行こう。清香」


二人は教室へと戻った。堂々と歩く二人は観衆からは恐ろしく見える。


「作戦成功だね!」


「ああ」


清香と陽太は笑顔でハイタッチした。