また彼らは図書室前の廊下に来ていた。どうせ、作戦会議だろう。


「噂を広めるだけじゃつまらないよね」


彩未が言った。確かにそうだろう。噂だけでは、いけない気がした。


「一人殺すか?」


「また?」


陽太の提案はさすがに拒否した。それほど栞奈には感傷は無いはずだ。


「じゃあ、倉上。あんたが裏切れば?」


「は?」


「人に裏切られるのはとても辛いこと。男子と仲が良いあんたなら裏切られる」


「……そうだな」


この二学年男子全員を陽太が裏切る作戦になったが、どうなるかはわからない。だが、陽太なら出来そうだと清香は思っていた。


「芝居できるかな……」


急に不安になる陽太を見て、清香はクスッと笑う。陽太は清香から目を逸らした。


「あんたなら出来るよ。ここまで頑張ってきたんだから」


清香は陽太の頭を撫でた。陽太の鼓動が高鳴り、顔が真っ赤に染まる。


「ファイト、倉上」


清香はニコッと笑った。陽太はその笑顔が眩しくて、見ていられなかった。


「ありがとう……」





これより、作戦実行となった――。