無事に手術が終わったようで、愛奈は栞奈の状態を医者から聞いた。


「一命を取り止めることは出来ましたが、しばらくは目覚めることはないでしょう。彼女が目を覚ますのを待つしかありません」


愛奈が泣きながら三人に説明すると、三人は安心したようで不安があるような感じがしながら泣いていた。


「栞奈……早く目を覚まして……」


栞奈の左手首には白い包帯が巻かれていた。愛奈はその左手を握り締めた。


「栞奈……目が覚める前にいい環境を作れるようにするから、栞奈は……少し待ってて……幸せにするから……!」


翔太は震える声で、そう言い放った。彼の顔も涙でぐしゃぐしゃになっていた。


「栞奈ちゃん、早く起きてよ……栞奈ちゃん……!」


清香は泣きながら栞奈に訴えていた。それでもまだ栞奈は覚めてくれない。




愛奈たちは病院を出て、それぞれの場所に帰って行く。愛奈は栞奈の部屋を捜索。翔太と清香は学校。修二は実家に帰って行く。


愛奈は家へと、一人で歩いて行く。栞奈のことを思うと、胸が苦しくなる。それはみんなも同じだった。


翔太と清香も修二も、栞奈のことを思うだけで胸が苦しくなってしまう。支え切れなかったことを悔やんでいる。


「どうして、栞奈ちゃんはあんなことを……」


清香が辛そうに聞いてきた。翔太は応えられずに俯くだけだった。