学校で清香は一人で本を読んでいた。栞奈が居なくて、孤独感を感じてしまっている。


栞奈がリストカットをしたという大きなストレスと孤独感が重なり、清香も「死にたい」と感じるようになっていた。


いつもは隣でうるさいくらい笑っている栞奈は、ここには居ない。それが彼女にとってとても苦痛なことだった。


「清香……」


名前を呼んだのは、美那だった。清香は肩を震わせ、身構える。


「ごめんなさい!お……私のせいで、大切なものを無くしたから、本当にごめんなさい!」


土下座する美那を見て、清香は少し口角が上がった。


『私の前で泣いて土下座して謝れ!』


栞奈の遺書に書かれていたことを思い出した。


「『反省してくれるよな?』」


清香は栞奈の遺書に書かれていた言葉を口に出していた。


「『苦しんでくれるよね?』」


「えっ……」


偽善者扱いされるほど人に優しかった清香が崩れ落ちて狂い出していく。


「お前のせいで、栞奈ちゃんは死んだんだよ!」


清香は土下座していた美那の頭を足で踏みつけた。どす黒い感情が清香の中で流れていく。


「栞奈ちゃんを裏切っていじめたお前を絶対に許さない!栞奈ちゃんが許さない限り、私も許さない!」


清香はもっと強く美那の頭を踏みつける。


「やめて……」


「やめない。これぐらいしないと、貴方は反省しないじゃん」


「うっ……」


清香は無我夢中で美那を蹴ったり踏んづけたりした。美那は苦しくて絶えるのに必死だった。


「栞奈ちゃんをいじめた罰だよ。栞奈ちゃんの苦しみ、分かった?」


「分かったから、やめて……!」


そばで見ていた陽太も清香の本性に驚いて何も出来ない。一人の行動でみんなが変わってしまうのを嫌でも知った陽太。


「やめろ……!」


陽太が言うと、清香はニヤリと笑って陽太を見た。陽太はすごく嫌な予感がした。


「貴方も許さない。栞奈ちゃんをいじめたから貴方にも罰を与えないと……」


「何事だ!?」


清香が陽太に復讐しようとした時、翔太と晃平が駆け付けて来た。それに清香がチッと舌打ちをする。


「三人供、談話室に来い!」


翔太に言われて、渋々と三人は談話室へ向かった。