裕也は翔太の車に乗り、栞奈の病室へ向かう。もちろん、運転は翔太だ。


「松山さん……」


急なことが起き過ぎて裕也はかなり困惑しているようだった。


「大丈夫。栞奈はきっと目覚めてくれる。友達の俺が言うんだから、きっと……」


「友達……。今日お友達になったばかりだな」


幸せそうに裕也は笑った。教師生活の中で初めて友達が出来た裕也にとって幸せなことだろう。


それと反対に翔太は辛そうな顔をしていた。栞奈の好きな裕也が現れたことで栞奈は目覚めてくれるのだろうか不安でいっぱいなのだ。


「栞奈って呼んであげてよ。きっと栞奈は驚いてくれるはずだから」


「ああ、分かった」


翔太は車を病院へ走らせた。