「家ってだけで変に意識してんじゃねぇよ」
「だ、っ.....違!いや、もう!蓮見さんって意地悪ですよね」
わかりやすく動揺する私を見て、わかりやすく楽しそうにしている蓮見さんをキッと睨めば
「知ってて好きになったんじゃねぇの」
なんて、まさかのカウンターを食らって撃沈。
ブワッと恥ずかしさがこみ上げて来て、同時にやっぱり好きも溢れて、結局 私ばっかり余裕がなくて悔しいって思うのに、どんな蓮見さんにもほだされてしまうのが私なのだ。
「.....好きです。私、蓮見さんがすっごく好きです」
「はいはい」
「あー!今、流しましたよね」
「流してねぇよ。返事したんだろうが」
「2回"はい"っていう時は大抵嘘をついてる時か話を流してる時だってテレビで見たことあります!!」
それに、欲しかったのはそんな言葉なんかじゃなくて。
例えば「俺も」とか、たったそれだけでいいから、蓮見さんも私と同じ気持ちでいてくれてるんだ!って言う安心が欲しかったのに。
我ながら幼稚で女々しいことも承知の上で、それでも頬を膨らませずにはいられない。
そんな私に呆れたようにため息を零してから、
「ったく、とりあえず今日はもう遅いから帰る。お前も早く寝ろよ」
「.....っ」
くしゃくしゃと私の髪を撫でた蓮見さんに心臓がドクンッとはねた。
「.....はい、おやすみなさい!」
乱されたままの髪の毛を直すことすら出来ずに立ち尽くす私は、慌てて蓮見さんに声をかけて、私に背を向けて歩き始めたその背中を見送る。
名残惜しくてつい引き止めてしまいそうになる。
あー、ずっとずーっと蓮見さんと離れたくない。
会いに来てくれて嬉しかったな。
やっぱり、ほかの誰でもなく、私は蓮見さんが大好きだ。


