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8月の上旬。


夜は暑くて寝られない日が続いている今日この頃。私はベッドの中、いろんな意味で寝られない夜を過ごしている。



「蓮見さぁぁあぁあん!!!!」



蓮見さんと付き合うことになってから、早くも3週間が経とうとしている今、


私と蓮見さんの関係は、


何一つ、前進していない。
ううん、むしろ。本当に付き合っているのか怪しいレベルで何もない。



交番に行ったって、会える日と会えない日があるのは今まで通りだし。連絡先は教えてもらったけど、蓮見さんから連絡が来たことなんて1度もない。


……私からかけたって仕事中だと基本電話には出てくれないし、メッセージも休憩時間にたまに返信が来ればいい方だから。


基本『お仕事頑張って下さい♡』とか『これから友達とショッピングに行ってきます!』とか、蓮見さんからの返信がいらないような内容を送りつけているのは私だけれど。


何だかんだ警察官の彼が好きだから、重荷にだけはなりたくないと心のどこかで思っているのかもしれない。



「つっても、さすがに寂しいんですけどぉぉお」



今までは交番で会えたらラッキー!くらいの気持ちでいられたのに、人とは欲張りな生き物で……いざ彼女の座を手に入れてしまえば今度はもっと、欲しくなる。



そもそも『好きだ』と言われたわけじゃないし、ちょっと前まで本当に私のことを面倒くさそうにしていた、いや……なんなら今も会いに行くたび面倒くさそうだけど、


そんな蓮見さんが、どうして私と付き合おうと思ってくれたのかが……やっぱり、全然分からない。