こんなに綺麗な寝顔ってある?
まじまじと見つめては、もう出なきゃ起きちゃうかも!ってスリルにドキドキして、


でももう少しだけ見てたい。なんて、欲張りが発動する。



この暗さじゃ、写メは到底撮れやしないし。
フラッシュなんてたいたら蓮見さんが起きちゃう。
見つかったら絶対タダじゃ済まない。


いくら松本さんが許可してくれたとは言え、蓮見さんの事だ。本当に私は刑務所にでもぶち込まれるかもしれない。



そう思うと興奮が冷や汗に変わっていく。



今日も朝から街のみんなのためにお勤めご苦労様です。
私も蓮見さんの寝顔を見れたので、アパートに戻って蓮見さんの夢を見ることにしますね。



「おやすみなさい、蓮見さん」



無意識のうちに蓮見さんの頬に手を伸ばしていた私は、触れる寸前で我に返った。



ダメダメ!触れてしまったら、蓮見さんを起こしてしまうかもしれない。意外にも自分の理性がしっかり機能していることに驚きながら、

名残惜しくも立ち上がろうと足に力を入れた私は、



───グイッ



「っ……!!」


手首を思い切り掴まれて、心臓が大きく跳ねた。




「……夜這いとは、いい度胸だな」



寝起きの、少し掠れた低い声に背筋が凍る。
いつもなら無条件にドキドキするこの声。


今は違う意味のドキドキが私を支配していて、初めて蓮見さんから逃げたいと思っている私は、


「あ、あの蓮見さ……」






───ドサッ



……!!!




次の瞬間、視界が反転してしまった。
あれ、なんか……



押し倒されてませんか、私。