ガックリと項垂れた私を見て、松本さんはケラケラと笑ったあと、
「奥の部屋に、会いに行ってきたらどうだ?まだ起きてるかもしれないし。寝ていても寝顔くらいは見れる」
とんでもない提案をしてくれた。
「え!……でも、そんな……いいんですか?」
「さっき酔っ払いたちが喧嘩してるって通報を受けて、他2人は現場へ向かったから、奥の部屋で休んでるのは蓮見しかいない所長の私が言うんだから安心していい」
ハッハッハッなんて大口開けて笑ってる松本さんは「他の奴には内緒で頼むよ」なんて、呑気に言ってるけれど、
ほ、本当にいいのだろうか?
確かに。馴れ馴れしく松本さんなんて呼んでるけれど、松本さんはこう見えて警部補と言う階級で、この交番の所長を務める方だ。
その松本さんが言うんだから……
「松本さんありがとう!蓮見さんの次に大好き!!」
「ははっ、やっぱり蓮見には勝てねぇか!残念!」
何も気にしなくていいんだよ、ね?!私、蓮見さんの寝顔を見たら大人しく……大人しく帰るからね!?絶対変な気は起こさないから、安心……してね?
なんて、誰に向けての言葉なのか。
多分、頭の中で必死に自分自身に言い聞かせてるんだな、これ。
「松本さん、奥のお部屋……お邪魔しますね!こっそり蓮見さんの寝顔だけ見たら帰りますから!」
「あいよ。ゆっくりしておいで」
ニヤッと口角を上げて私を見送る松本さんに最大級サンキュウ!いざ!蓮見さんの寝顔拝見っっっ!!!


