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(――人間の考えには、ほとほと呆れ果てるしかない)

 目の前にいる選ばれし人間に聞こえぬよう、心に蓋をした。そうすれば聞こえまい。

 都合のいいときだけに限って、助けてだの見逃してくれだの身代わりになるだのと、ここぞとばかりに我儘を振りかざしてくる。

 相手のためだと言いながらも、結局自分のエゴでやっているのだと、なぜ分からないのだろうか。

 どいつもこいつも、俺の仕事を邪魔しおって――押し付けられる人間の想いなんて、もうたくさんだ。

 選ばれし人間の気持ちをうんざりしながら話を聞き流し、過去のことを振り返りながら考えた。

 コイツとは今夜、決着をつけてやるぞと――。