俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい

社長は仏頂面を崩してふわりと微笑み、リビングダイニングに足を進める。私もついていくと壁側に内階段があり、二階部分が見える造りになっていて、デザイン性の高さに感激する。


「わぁ、メゾネットってやつですか? すごくオシャレ……あっ」


こんなところに住んでみたいと思いながらぐるりと見回していると、部屋の隅にケージらしきものがある。

その中に、まるでぬいぐるみのようにもふもふとした小動物がいるのを見つけた瞬間、私は目を輝かせた。


「きゃーうさぎ! 可愛い~!」


直径五十センチほどのケージに駆け寄って膝をつき、まじまじと眺める。

茶色の毛並みに、ピンと立った耳、真っ黒なくりくりとした目。大きさは五百ミリリットルのペットボトルくらいで、前足をそろえてキョトンとこちらを見ている姿がめちゃくちゃ可愛い。

なんとなく不破さんは、動物には……というか、仕事と料理以外には興味がなさそうなイメージだった。なのに、まさかうさぎを飼っていたとは。

驚いたことと、うさちゃんの可愛さでテンションが急上昇する私の後ろで、彼が立ったまま説明する。