……頭をなでなでされたのなんて、いつぶりだろう。胸キュンしたのだって、かなり久々だと思う。褒められたことも、単純に嬉しい。

トップの髪が少々乱れたのも気にせず、ぽうっとしてしまっていた私は、持っていた資料を取られたことで我に返った。


「経営会議のあと、ハースキッチンの佐藤社長と会いたいからアポ取っておいてくれる？」


社長は真剣な顔に戻って資料をめくりながら言い、私も表情を引き締めて答える。


「承知しました。二時から会議なので、余裕を持って四時頃でよろしいですか？」

「いや、三時でいい。会議は三十分で終わらせる」

「三十分、ですか」


彼の意外な言葉に、私は目を丸くして再確認してしまった。

これまで、会議が三十分で終わったことがあっただろうか。結構頻繁に会議があり、部長たちが何時間も部署に戻らないことはザラだった。

驚く私に、社長はつまらないことを話すような調子で説明する。


「だらだら会議やったってなんの意味もないだろ。資料は参加者に事前に送って目を通してもらって、重要な部分だけ話し合うようにすれば短縮できる。無駄は省略」