そうして、気合十分で不破社長の秘書として働き始めた私は……一週間後には正直ヘトヘトになっていた。
エイミーにも、『アリサ、顔が若干ゾンビみたいになってるよ』とヒドい言われようで、美容ドリンクを渡されたくらいだ。
残業はほぼなく、休憩時間もきっちり一時間とれる。しかし、社長は容赦なく仕事を任せてくるから、時間内でそれをこなすのに毎日必死なのだ。
地味な事務作業を任されたかと思えば、ひとつの資料を探すために段ボールの中身を掻き分けたりもする。
その合間に取引先の情報も頭に入れ、秘書としてのビジネスマナーも習得しなければいけない。そうこうしているうちに、あっという間に一日が終わっていく。
桐原専務が大変だと言っていたのは、社長がスパルタだという意味なのかもしれない。
初日も、『やれる範囲でいいよ』と言っていたにもかかわらず、次から次へと用事を頼まれたし……。その日の終わりに、『余裕だった?』と微笑まれ、軽く張り倒したくなったよね。
でも、プロバイドフーズのときのように、めちゃくちゃに押しつけられるわけではない。私がギリギリ就業時間内で終わるくらいの量を、あえて与えられているような感じ。
きっと、これが社長なりの私の育て方なのだろう。



