これ完璧ネタでしょう。ていうか、社長より年上なの!? いろいろおかしすぎて、笑わないほうが無理だ。

社長は「ほら、ウケた」と得意げになっているし、エイミーは無愛想なままの武蔵さんの背中を叩いて爆笑しているし、なんなんだもう。


「キャラ濃すぎじゃないですか? ここの人たち……」

「毎日楽しいですよ」


笑いすぎて乱れた呼吸を整えて本音をこぼす私に、唯一マトモな専務がにこりと微笑みかけた。


それから社長室を出て、本社勤務の皆さんの前で、きちんと挨拶をした。

最初に会ったふたりのインパクトが強すぎて、私は馴染めるのか若干心配になったものの、他の方々はいたって普通に、快く迎え入れてくれたと思う。

エイミーも武蔵さんも、仕事を始めれば真剣な姿勢になっていたし、オンオフがきちんと切り替えられているのだとわかった。

肝心の秘書業務は、社長のデスクの左側にある応接スペースに座り、向かい合う社長に今教えてもらっているところだ。


「まず、このファイルに取引先と受託施設が全部載ってるから、その会社の情報を頭に入れておいて。プロバイドフーズ時代にアリサが関わった会社の情報も整理して、俺が聞いたときにすぐ答えられるようにしておいてほしい」