俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい

「“お友達職場”にならないようにルールを守れば、役職も関係なくあだ名で呼び合っていいことになっています。コミュニケーションを活発にするために」

「なるほど」


欧米のように気軽に呼び合っているのか。さっき、社長もボスって呼ばれていたもんね。常識に囚われないそのスタイルは、不破社長らしい気がする。

すると、エイミーは立てた人差し指の先を顎に当て、こんなことを言う。


「ボスがアリサアリサ言ってるから、私とキャラ被ったら困るわーと思ってたの。でも、イメージと違ってクールビューティだった! アイドルっていうより美人女優って感じ!」


ツッコミどころが満載な彼女の言葉には笑うしかない。とにかく明るい子だなぁと感心してしまう私に、社長が詳しく教えてくれる。


「エイミーは、この通りうるさいけど人事部の中でも特に優秀なんだ。社内研修で接客マナーを教えたりもしてるんだよ。うるさいけど」

「“うるさい”言いすぎです!」


即刻キャンキャンと噛みつく小型犬のようなエイミーに構わず、社長は次に、木の如くじっと黙って立っている男性のほうを紹介する。