俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい

まぁ確かに、壁を取っ払ってくれる感じがするし、いい意味で気楽に接することができるかも。でも、アリサと呼ばれたのは初めてだわ。

独特なネーミングに戸惑いつつも一応納得していると、ふたりの社員も私に注目していることに気づく。

男性は短い黒髪と、無愛想な強面が硬派そうなイメージ。女性はふわふわとした長い髪に、素朴で愛らしい顔立ちをしている。

私と同じか年下にも見える彼女は、キラキラと目を輝かせて私に声をかける。


「あなたがアリサね！　いらっしゃーい」

「は、はじめまして。本日から秘書を務めさせていただきます、有咲です。よろしくお願いします」


テンションの高さに面食らうも、今度はしっかりと挨拶をした。なんとなく、有咲の“き”を強調して。

とっても愛想のいい彼女は、アイドルのような喋り方で挨拶を返す。


「よろしく～。私、橘 瑛美（たちばな えいみ）っていいます。エイミーって呼んでね！」


パチンと音がするくらいのウィンクをされ、私は目をしばたたかせた。

エイミー……。ひいき目でも純日本人っていう顔をしているけどエイミー……。

微妙な笑顔を見せてとりあえず承諾すると、再び専務が説明してくれる。