「え、えぇっ!? なんで……」

「どうぞ、おふたりでゆっくりご覧になってください」


瞠目する私に構わず、スタッフの女性はにこやかに私たちを中へと促したあと、静かに扉を閉めた。

一体どういうことなのか、すぐには理解できず固まっていると、雪成さんは私の手を引いてバージンロードを歩き始める。

美しいステンドグラスから柔らかな光が差し込み、誰もいない祭壇を照らしている。その前までやってきて、彼は足を止めた。

ドラマかなにかの世界にいるんじゃないかと錯覚しそうになり、ドキドキと鼓動が速まる。

そんな私に向き合った彼は、魅惑的な笑みを浮かべてポケットの中に手を入れる。


「先に言っておくが、これは特別報酬なんかじゃないからな」


念を押して彼が取り出したものは、白いリボンがついた小さな四角い箱。

さらにその中から、まばゆい輝きを放つ宝石が存在を主張する、プラチナのリングが現れた。

ここまでされたら、鈍感な私でもさすがに彼の意図に気づく。気づくけれど、にわかには信じられない。


「嘘……これ……!」


無意識に口に手を当て、驚きと感動が入り交じった声を上げた。