それを聞いた瞬間、今の母の話と、以前も耳にしたエピソードが頭の中でリンクした。

“病気になってからお店を閉めることになった”って、雪成さんのご両親と一緒……。まさか、同じだなんてことはないよね?

胸の中がざわめくのを感じながら、念のため確認してみる。


「その友達の名前は?」

「さあ、そこまでは聞いてないわ」


答えは得られず、私は「そう……」と呟いて頷くしかなかった。

きっと考えすぎだろう。こんな偶然の出会いがそうそう起こるわけがない。

でも、雪成さんの様子がおかしくなったのはリオンの話をしたとき。しかも、彼はなぜか父の苗字を聞いてきた。出身地も同じだし、可能性はないとは言えない。

一致することが多く、奇妙にすら感じてしばし黙考する私に、母が優しい声を投げかける。


「麗も、お父さんに会いたければ会いに行っていいのよ。もう子供じゃないものね」


今までは絶対に言われなかった彼女の言葉に、一旦雪成さんのことを考えるのをやめにした。

お父さんにはいつか会いたいし、それを許してもらえたのは嬉しい。けれど、それよりもまず大事なことがある。