それからも、エイミーは持ち前の明るさで励ましてくれて、おかげで少し気分を軽くして帰ることができた。
桃花にも一部始終を聞いて慰めてもらって、実家に帰る大晦日の今日は、幾分か失恋の辛さが和らいでいる。
私は玄関でブーツを履きながら、見送ってくれる桃花になにげなく質問してみる。
「桃花は颯太と初詣行くの?」
「あーうん、一応そのつもり」
颯太の名前を出すといまだに照れる初々しさに微笑ましくなりながら、ちょっぴり意地悪な忠告をする。
「私がいない間にここに連れ込んでイカガワシイことしないでよ? それはさすがに気まずいから」
「するわけないじゃん! 私だって嫌だよ!」
顔を赤くして必死になる彼女には笑ってしまう。からかってごめんね、と心の中で謝った。
荷物をまとめた大きめのバッグを持ち、「じゃあ、よいお年を」と声をかけてドアに手をかけたとき、桃花が優しく微笑んで言う。
「麗は来年、運勢抜群のラッキーな年なんだって。きっと今年よりいいことがあるよ」
傷心中の私をさりげなく励ましてくれる彼女に、笑みがこぼれる。気休めでも、その心遣いが嬉しい。
星占いはあまり信じないタイプだけれど、今は信じてみようかなと思いつつ、「そうだといいな」と返した。



