衝撃を受けている間に触れただけの唇が離されたものの、私たちの前髪はまだくっついている。

一度視線を絡ませ、お互いの想いを探るような間があったあと、再びゆっくりと唇を重ねられた。今度は目を閉じて、しっかりと彼を感じる。

頬に当てられていた手は後頭部と腰に回され、さらに密着すると共に、口づけが濃度を増していく。

……不破さんって、こんなキスをするんだ。優しくて、とろけるほどに甘い、蜂蜜みたいな。

どうして彼が私にキスをしているのか、その理由が容易にわかるくらい気持ちが込められているように感じて、身体の奥から高揚する。

しばらくお互いの唇を味わったあと、小さなリップ音をたてて甘美な雨が止んだ。「っ、はぁ……」と吐息を漏らし、骨抜きにされてふらつく身体を支えるため彼のシャツをきゅっと掴む。

熱に浮かされた気分で遠慮がちに目線を上げれば、欲情を含んだ色気溢れる笑みを湛えた彼がいる。濡れた唇が、ものすごく官能的だ。


「アリサの色っぽい顔、お目にかかれて嬉しいよ」


不破さんは私の腰をしっかり抱いたまま、満足そうに言った。羞恥心と、少しの不満が湧いてきて、私は口を尖らせる。