目を逸らすなとばかりに両手で頬を包み込まれ、さらにこんなふうに言い切られたら、もう悪あがきできない。

顔が沸騰するくらい熱くなるのを自覚しながら眉を下げ、か細い声で白状する。


「っ……どうして、いつも私の考えてることがわかっちゃうんですか……」


秘書に恋愛感情なんて持たれたら厄介だと思われるかもしれないが、バレてしまったものは仕方ない。

私ってここまでわかりやすい人間だったんだろうか。それとも、不破さんの勘が鋭いから見抜けるのか。


「そうだったらいいなって思ってるから、かな」


次いで彼の口から出た答えは予想のどちらとも違っていて、私は目を見開いた。

私に好意を持たれても迷惑じゃないの? むしろ、それを望んでいるということ?

自分に都合よく解釈するほかなくて、ドキドキと胸がときめき出す。どこか色っぽくて美麗な顔を凝視していると、伏し目がちになったそれがこちらに近づいてくる。

あ──と思った瞬間には、唇が柔らかな熱に包まれていた。

う、そ……私、キス、してる。不破さんと。

この感覚は初めてじゃない。なのに、まるでこれがファーストキスかというほど息ができなくて、心臓が張り裂けそう。