俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい

「わぁ……すごい! 完全にお店じゃないですか!」


興奮のあまり叫んでしまった。シェフだったのだから作れて当然だとしても、やっぱりめちゃくちゃ尊敬する。

口元に手を当て、感動しまくりながらまじまじと料理を眺めていると、不破さんは穏やかな笑みを浮かべて言う。


「今夜の用事はこれ。一緒に食べてくれるか?」


トクン、と胸が優しく波打つ。

真顔になって、料理から不破さんへと視線を移す私に、彼はいたずらっぽく口角を上げ、「働きたい気分のところ悪いが」とつけ加えた。

まさか、今日さっさと帰ったのはこの料理を準備するため? 最初から私と食べるつもりで?


「どうして……」


彼の計らいはとても嬉しいが、その意図がわからない。

不破さんは困惑する私と距離を詰め、人差し指をこちらに近づけてくる。ギョッとして反射的に目を瞑ると、眉間を軽くツンと突かれた。


「ずっとココにシワ寄せて根詰めてたから、気晴らしさせてやりたくなって。家にも帰りづらいんだろうし」


その言葉で、昼間の一件から思い悩んでいた私の心情を、彼はよく理解してくれていたことに気づかされた。