俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい

え、ちょっと、まさか抱きしめられるんじゃ……!?

彼に囲われる中、鼓動を激しく乱しながら思わずぎゅっと目をつむった。しかし、抱きしめられる感覚はなく、首回りに違和感を覚えるだけ。

ん?と頭の中にハテナマークを浮かべ、ぱちっと目を開く。それと同時に手が離れていき、いつもの笑みを浮かべる穏やかな桐原さんが視界に入る。


「すみません、ネックレスの留め具が前に来てしまっていたので」


そう言われてはっとした。今、彼はネックレスを直してくれていただけだったのだ。

私、なに勝手に勘違いしてんの。恥ずかしすぎる! ていうか、留め具が前に来ていたことに気づかなかったのも恥ずかしい!

かぁっと熱くなる顔を俯かせ、「あ、ありがとうございます……」と、とりあえずお礼を言った。

小さくなる私に、桐原さんは意味深な笑みを向けてこんなことを口にする。


「大丈夫ですよ。あなたに手を出したら、社会的に抹殺されかねませんから」

「……はい?」


“社会的に抹殺”って、誰に、なぜ?