「麗とずっと一緒にいたいっていう気持ちが、どんどん薄れていってるんだ」


彼の愛情はすでに離れていたのだとわかって、胸が痛まないはずはない。

でも、思いのほか冷静でいられるのは、こうなることをどこかで予期していたからだ。


「……なんとなく、そうなんじゃないかって思ってた。今日だって、誘ったの私だしね」


私は抑揚のない声で言い、自嘲気味の渇いた笑いをこぼした。

考えてみれば、颯太から誘ってくることは最近ではほとんどなくなっていた。

それは忙しい私を気遣ってくれているからではなく、愛情が薄れていたから。ドタキャンしても怒らなかった理由も同じだろう。

私はその可能性に、気づかないフリをしていただけ。

もっと早くに対処していればよかったのかもしれない。颯太の優しさに甘えっぱなしだった私の、自業自得の結果だ。


「優柔不断な颯太がこれだけはっきり言うんだから、本当にもう、終わりなんだね」

「……ごめん」


目を伏せて謝る彼を見ていると、やり直すつもりはないのだとわかり、引き留める気も起きなかった。

三年も付き合ったのに、こんなに簡単に別れを受け入れられるなんて、私の愛情も水に溶かした絵の具くらいに薄まっていたのかも。