「別に不機嫌じゃないけど。」

「いつもはもうちょっと優しいもの。」

「優しいとかねーわ。」

「ねぇ本当どうしたの?」

「何もない。」

「何もなかったら春樹そんなおこってないでしょ。」

「怒ってないから。」

「意味わからない。」

キーンコーンカーン・・・。

「きりーつれいー。」

「ありがとうございましたー。」

「はぁ。」

横で深いため息をつく春樹。

「ちょっとどうしたの?」

「何でもない。」

「春樹!」

「・・・来て。」

「え。ちょっ!?」

「琴葉・・・?」

すれ違ってキョトンとした目を向けられる。

「あ。本当だ。琴葉。」

雪音と愛花。

「あの雪音!」

「ん?」

「次の授業出れないからって先生に伝えといてくれる?」

「・・・わかった。春樹ー。」

「何?」

「取り引き。覚えといてねー。」

取り引き?愛花と二人して首をかしげる。

「お前ここで言う事じゃないだろ。」

「そんな険しい顔しなくても。」

妖艶に見たことも無い笑みを浮かべた雪音。

「いくらでも協力する。」
 
とすれ違いざま春樹の耳元で囁いて言った声を聞いたのは私だけだろう。