琴葉〜

簡単に彼女の事に口を出すわけにはいかない。

「佐々木。おはよ。」

「部長。おはようございます。」

「あのさ・・・。」

言いよどむ部長。

「愛花の楽器の事でしょうか?」

「あぁ・・・うん。」

「恐らく修理に出さないとですね。元に戻すためには。」

「昨日何があったの?」

「それを聞くんですか?ご自分が1番お分かりになりますよね。」

「俺のせい・・・らしいよね。」

「誰かから聞いたような言い方ですね。」

「でもそうだろう?」

「そうですよ。実際は。部長が自覚なくても部長が愛花に向けてる好意が他の先輩方を怒らせたんです。告白もしないでただ好意を向けているだけだからこうなるんです。」

「ごめん。」

「私に謝るんじゃなくて愛花に謝るべきだと思うんですが。」

「栗橋は?いる?」

「あいにく体調不良でお休みです。恐らく広汰君と一緒でしょうね。」

「・・・サッカー部の?」

「そうです。男子苦手な愛花の周りによく引っ付いてるのそれくらいですよ。」

苦々しく笑う部長。

「修理代を請求するつもりですがどうでしょうか?危害を加えたというのもあるので慰謝料も。」