春樹〜

幼なじみの琴葉は高校に入ってから更におかしくなっていった。

挙動不審・・・?

散らばった譜面を手渡す時に触れた手が俺より体温が高くて心地よかった。

パシッ

「え・・・。」

握った右手。

「あったか。」

「何してんの・・・。」

目を見開いた琴葉は少し幼い。そういえば風呂入った後とかも幼く見えたっけ。

「俺より体温高いなと思って。」

「離して。」

微かに潤んだ瞳で睨まれる。

「なんで?お前また勝手な噂を気にしてんの?」

「当たり前でしょ。春樹と違って私は堂々とできないの。」

「そのまんまじゃだめなの?」

「私は春樹とは違う。堂々となんてできない・・・。」

「琴葉。何?どうし」

「琴葉ー!教科書貸して!」

「柚菜!何の教科書?」

「数学。マジでヤバイんだよね。」

柚菜は俺らのもう一人の幼なじみ。茶髪にしてる。琴葉は元々色素が薄くて明るい茶色。

「寝てるからでしょ。」

「そんなこと言われてもねぇ。あ。愛花がまた部長に呼ばれたんだって?」

「あーうん。」

「春樹〜!広汰君に注意しといてよー。」

「わかってるー。」

「あ。琴葉。今日木管でセクションしたいからよろしく。」

「了解。サックスの調子はどう?」

「この前リード割れてやべぇとは思った。」

「根性で吹いてたでしょ。」

「あれはマジですごいと思うわ。」

二人の会話を眺めて思う。

幼なじみから関係は進まなくなって離れていっているな。と。