柚菜〜

思う様に走れなくなったのはあれから。

「また県大会?柚菜すごい。」

「ありがとう。琴葉。」

幼なじみは優しく笑ってくれる。幼なじみの琴葉は男が苦手でもう一人の幼なじみ春樹としかほとんど喋らない。でも琴葉は綺麗で頭も良いから男子からは人気がある。けど女子からは嫌われてるけど話すとすごく良い人って事がわかる。

「頑張ってね。応援してるわ。」

「うん!」

「陸上で無理しないでよ。サックス吹けなくなったら困るよ。」

「りょーかい。」

「県大会頑張んないとねー。」


県大会。結果最高。

「お前やっぱすげーな。100と1000優勝とか。」

好きな人が声をかけてくれる。それほどに嬉しい事はない。

「ふふ。めっちゃ練習したもん。」

「お疲れさん。」

私が甘いコーヒーは苦手な事を知っててブラックをくれる。

「コーヒー?ありがとう。」

貰ったコーヒーを飲んで着替えて帰ろうとする。

「お前のせいで!」

「ん・・・?裕太?」

激しい暴言を吐かれてるのは裕太。

「・・・」

「俺の方がお前より練習してんのにお前は練習やってないだろ!」

くだらない・・・。

「ゆーた!帰ろっ。」

「柚菜・・・。」

カタッ・・・

裕太の後ろに迫る影。

「っ!裕太っ!危ない!」
 
ドンッ

「柚菜っ!」

意識は一瞬飛んでた。多分。