広汰〜

俺と宮園の言い合いを困った様に見る愛花。綺麗な青が少しかかったミディアムヘアの黒髪。白い肌に大きな瞳。赤い唇。一言で言えば可愛い。

まぁ無自覚だけどね。

「あ!愛花!部長が呼んでたよ〜。」

「琴葉!おはよう!」

「・・・。また広汰君いるの?」

佐々木琴葉。学級委員でちょっと厳しい。けど妹みたいな愛花には優しい。

「またってひでー。」

「部長?なんで呼んでるの?」

ここにいる3人の女子全員吹奏楽部。愛花はトランペット。宮園はチューバ。まぁよくこの細さでチューバかかえてんなと思う。佐々木はクラリネット。

「あ!広汰。今日一緒に帰れない。ごめんね?」

「ん。わかった。」

身長差で見上げられると何も言えない。15㎝くらいある。

「広汰君。」

「何?佐々木。」

「部長ね。愛花の事好きだよ。同じパートだしね。」

「何でそんなこと教えてくんの?俺には」

「関係ないとか今更すぎんでしょ?」

キツイ目。

「愛花の事好きなくせに。わかりやすくて困る。」

「本当だよ〜。」

「愛花モテるんだから気をつけてよね。簡単に誰かに取られたら怒るよ。」

「わーったって。佐々木も春樹と仲良くしろよ。」

さあっと染まっていく佐々木の頬。

「か、関係ないでしょ!幼なじみよ!」

「はいはい。琴葉は照れ屋だもんね。」

「雪音っ!」

「・・・はぁ。」

好きなのかはわからない。ただ居心地がいい。

同級生以上。恋人でもない。それだけ。