アカリは、”俺”を見てくれた。

幼いあの日。
三毛猫を、珍しいからでも、特別だからでもなく。純粋に可愛がってくれたように……。


ーー参ったな。

俺はきっとあの日から、アカリを大切に想ってたんだ。
この子なら、きっと俺の事も見てくれるって……。
俺を、見てって願ってて……。

傍にいるうちに、どうしようもない位、アカリに惹かれてた。


「……。困る」

「え……?」

「……。
このままアカリを、あの場所に帰したくなくなる」


気付いてしまった自分の気持ち。

アカリが好きで。
アカリが大切で。

言葉では言い表せない位、愛おしい気持ちが…。
俺の中で葛藤した。