俺は、アカリの傍を離れたくなかったんだ。

仕事なのに……。
アカリといる時間を、俺はいつの間にか楽しんでいた。

だから、アカリに避けられた時。
初めて自分から近付くのが、怖くなった。


天真爛漫で、コロコロ表情が変わるアカリ。
面白くて。
一緒にいると、退屈しない。

”夢の配達人ヴァロン”の時では出せなかった、飾らない自分でいられた。

危なっかしいアカリに本気で怒ったり。
すぐに照れるアカリをからかったり。
一緒に微笑ったり。

自然体で、いられた。


アカリが自分から歩み寄って来てくれて、俺にクッキーを作ってくれた時。

初めてアカリを、可愛いと思った。

嬉しくて。
アカリを抱き締めて、微笑った。

自分の中に湧き上がる気持ちに驚きながらも……。俺は、アカリの笑顔を見ていたかった。