「ーーかわいそうにな」

三毛猫の檻の前で足を止めて、思わずそうポツリと呟いた自分に驚いた。


……俺の母親は、娼婦だった。

聞いた話だと拠点としていた地方では有名な美人で、大金を出してでも「相手をして欲しい」と、求める客が後を絶たなかったらしい。

でもそれは、若くて女としての価値のある旬の時期だけ。
母親が娼婦の仕事に引け目を感じ始めた時、ある有名な金持ちの息子が相手をして欲しいとやってきた。
多少年は取っていたが、俺の母親はその金持ち男を満足させるには充分な相手で……。
男を虜にした母親は、これを逃すまいと計画的に俺を身籠った。