胸がキュンッとときめく甘い笑顔。
彼にそんな風に頼まれて断れる筈がない。


「っ……が、頑張る!」

「ありがと。
じゃ、俺シャワー浴びてくる」

すっかりやる気満々の私を見てフッと微笑んだヴァロンは、頬にチュッとキスをしてくれてお風呂場に消えて行った。


……もうっ、ヴァロンってば!
本当に私の扱いが上手いんだから~っ。

キスされた頬を押さえながら、ニヤニヤが止まらない。

ヴァロンの大切なお客様。
喜んでもらえる物を作らなきゃ!と、私は気合を入れてお菓子作りを始めた。

……。

暫くして……。
ヴァロンはお風呂から出て来ると、私服ではなくてビシッとしたスーツに着替え始める。
その姿を見て、私はどんなすごい人が来るのかと……。
ソワソワして落ち着かなかった。