もしかして、ヴァロン。
仕事は完璧なのに、プライベートでは不器用なのかな?

いつも平然そうに見えた時も、実はそう見えていただけで、彼の鼓動はこんなにも高鳴っていたのかも知れない。


彼の新たな一面が見られた事に心が弾む。
ようやく本当の彼に出会えた気がして、私は彼の腕の中でくすくす笑ってしまった。


「っ……ムカつく。
全く、なんで俺がこんなガキに……」

意地悪で生意気な子供みたいな口調も、いつの間にか愛おしい気持ちに変わっていた。

これが、ヴァロンなんだって。
そう思えば思う程に大きくなる気持ちが、素直な言葉になる。


「好きだよ、ヴァロン。
私は、ヴァロンが大好きっ!」

溢れる想いを口にしたら、まるで抑えていた気持ちが解放されて急に甘えたくなった。
私はヴァロンの首に腕を回して背伸びすると、彼の頬にそっと口付ける。