面倒くさい女だと、思ってるかな?

せっかくお嬢様と召使いの関係ではなく傍に居られるようになったのに、上手く接する事が出来ず嫌になる。

こういう時に”可愛い彼女”とはどうしていいのか分からなくて……。
ますます黙り込んでしまう私に、ヴァロンが言った。


「……。
あのさ、嫌なら……しねぇ、から……」

「……え?」

それは、今までのからかい口調とは違う彼の声。


「その、俺は……。
自由にして、やりたかっただけだから……っ。
そ、そんなに……怖がる、なよ」

ーーえ?

こ、怖……がる?
ヴァロン、何か……勘違いしてる?

予想外の彼の言葉に、落ち込んでいた私の涙は引っ込んだ。


「……報酬、無理に払う必要ない。
俺が欲しいのは……お前の身体じゃねぇ」

不器用に、言葉を紡いでくれるヴァロン。
そっと顔を上げて彼の横顔を見ると、微かに、赤くなった耳。

愛しさが、込み上げる。
そして、悟る。

もしかして、彼も私と同じ気持ちなのではないか?……と。