「前の船よりは揺れねぇし。
速いから明日の昼には着くから我慢して」

「う、うん!平気!
ま、前は……大変だった、もんね」

彼の発言から、あやしい妄想がバレていないと一安心。
私は「あははっ」と苦笑いして誤魔化した。


私達が今向かっているのは、夢の配達人の隠れ家がある港街。
以前、私のお父さんの情報を求めて訪れた場所だ。

どうやら今回はヴァロンが事前にシュウさんと計画していてくれたらしく、別荘から1番近い港から乗船出来たうえに、揺れの少ない大きめの船。

用心の為に小さな船を乗り継いで、私が船酔いして大変だったあの時とは違う。


「……なんか、懐かしい」

お父さん情報を求めて旅した時は、色々あった。
溢れそうな自分の想いを伝えたくて、伝えられなくて……。苦しかった。


でも、今はーー。
こんなに近くに、彼がいる。