「まだまだだな。
また気が向いたら、相手してやるよ」

警備達に向かって、彼かベッと舌を出して笑うと、警備達も溜め息をついて笑った。
ローザも、微笑っていた。

言葉はなくとも伝わってくる。
私とヴァロンを、みんなが暖かい目で見てくれていた。


「じゃあ、なッ……!!」

バアァーーン……ッ!!

ヴァロンは振り返ると同時に扉を回し蹴りで破壊すると、そのまま振り返らず別荘を駆け抜けて……。

本当に、私を連れ去ってしまった。


ヴァロンに抱かれたまま、私はそっと目を閉じて心の中で呟いた。

ありがとうーー。

彼になのか、みんなになのか、分からない。


強いて言うのならば、私に関わる全てだ。
私に関わる全ての人に、ありがとう。