ゆっくりと、掛け布団を下げて顔を覗かせると……。
そこにあるのは、これまでと変わらない大好きな彼の笑顔。


「……明日さ。一緒に海行こうよ」

バロンは枕元に座って、優しく手を握ってくれた。
月みたいな白金色の彼の瞳が見守るように見下ろしていて、さっきまで暗闇しか見えなかった未来に、僅かだけど光をくれて……。
私を明日へと、導いてくれる。


「ローザに、ダメって言われるかも……」

「物凄くあり得るね、それ」

私の言葉に、バロンは即答。
二人で、笑った。


「……。
ちゃんと頼むよ、ローザ殿に。
もし駄目って言われても、この別荘抜け出すくらい朝飯前だね」

自信満々のバロン。
言った言葉を現実にする。
バロンの言葉は、魔法の呪文。

私の大好きなバロン。


「……約束だよ?」

「うん、約束。
だから、安心して眠って?」

彼の言葉に、私はそっと目を閉じる。

不思議で、心地良くて……。
私は夢の世界に誘われるように、眠りに落ちて行った。