「っ……私にとって、貴方はッ……。
ヴァロンより格好良いもんっ!!」

もう迷いなんてない。
とっくに想いは真っ直ぐ、貴方に向かって走り出していた。

今ならハッキリ答える事が出来る、あの時のバロンの問い掛けに。

……伝えたい。


「……バロン。わ、私……ね」

呼吸を整えて、ごくっと唾を飲み込むと、私はゆっくり顔を上げてバロンを見つめた。


……すると。
私の瞳に映ったのは、今までに見た事がない。真っ赤な顔をした、バロン。


「……バ、バロン?
ど、したの?やっぱりまだ具合悪い?」

初めて見る彼の様子に、私の緊張は吹っ飛ぶ。
だって、今目の前にいる彼は、いつもの落ち着いた”男性”ではなく、戸惑った子供のよう。


「っ……ちょ。
ちょっと、待ってッ……」

バロンはそう言って、私をグイッと自分から離すと、考え込むように口元に手を当てた。