おそるおそる、ギュッと閉じていた目を開けると……。瞳に映るのは、服を絞り終えて、屈んでいる彼の背中。


……え?

その行動の意味が分からず、目の前の広い背中をキョトンと見つめている私。
すると、顔だけ振り向いた彼が言った。


「ほら、乗って」

「!……え?」

「おんぶだよ、おんぶ。
足傷だらけで、痛いでしょ?」

「……あ」

言われて思い出した。
裸足で駆けてきて、傷だらけの足。


気付いて、くれてたんだ。

自分の事を見ていてくれた。
それだけでまた、涙が溢れそうになるくらいに嬉しい。
そんな私を促すように、彼が明るい声を弾ませて微笑む。


「……ほらっ、早く!」

「っ……。うんっ」

導かれるように、ゆっくり彼の肩に手を添えると、ピタッと背中に寄り添った。
湿った服越しなのに、温かい体温が伝わってくる。


「もっと、しっかり掴まって?」

彼の大きな手が肩に乗せていた私の手を包んで、自分の前に引き寄せると、離れないように掴まらせてくれた。