「アルコール度数40度のウオッカ。
それをこんな女の子に飲ませたらどうなるか……。分かってて、やったのか?」
普段より少し低い、怒りの声。
カウンター席に座る大男を、バロンは鋭い横目で射るように見つめた。
!……そんなに、強いお酒だったの?
お酒に詳しくはないけど、そのお酒がすごくキツいって事は知ってる。
お酒に強い人でも、何杯もグイグイ飲めるものではない筈だ。
今まで全くと言っていい程、お酒を口にした事のない自分が飲んでいたら一体どうなっていたのかーー。
今更ながら冷静に思い、タラタラと冷や汗を流す私。
だが、それよりも冷や汗を流しているのはバロンに詰め寄られている大男だった。
「へ、へっ!
オレ様はそのお嬢ちゃんと取り引きをしただけだっ!無理に進めたワケじゃ……」
すっかり動揺した大男の、しどろもどろに言い訳。
それを聞いたバロンは何かを企んだように微笑むと、私の肩をグッと抱き寄せてこう言った。



