でも、それが私の素直な気持ち。
ありのままの心から出た、言葉だった。


「わ、私の住んでる所すぐそこなの!
部屋にお風呂が付いてるから、一緒に行こうよ!」

恥じらいよりも、何よりも、怖かったのは彼に断られる事。
これで”さよなら”になる事。


「……。でも……。
君にそこまで迷惑かけちゃ……」

「いいの!いいの!
私がそうしたいだけだからっ……。ね?」

拒絶されないよう、ただ必死だった。
彼の言葉を遮る強引さを見せながらも、心臓は爆発寸前。


独りになりたくない。

背を向けたまま、自分で自分の手を握り締めて、祈るような気持ちで彼の返事を待った。

多分、十秒ほどだった沈黙の時。


「……じゃあ。
お言葉に、甘えようかな」

「!……」

息が止まりそうな位に緊張した時間という鎖が、彼のその一言で解かれる。