「ほらっ、アカリも食べてみ?
すっごく美味しいから!」

「っ……う、うん」

また不意打ちか!
人をガッガリさせたと思ったら、次は口元に差し出された串に刺さった揚げ物。
突然訪れた、この恋人同士がやる「あ〜ん」という行為に再びドキドキさせられながらも、私はパクッと食べた。


「!……美味しいっ!」

噛んだ瞬間にサクサクの衣の中から溢れる肉汁。
あまりの美味しさに、ドキドキなんて吹っ飛んでしまう。


「でしょっ?食べなきゃ損だよ!
ねっ、隣の店も行こ〜ッ!」

「うんっ!」

いつの間にか、緊張も戸惑いも和らいで自然体になっていた私。
これはきっと、人を和ませるバロンの力のおかげだ。


それからバロンは次から次に注文して、本当に端から端の屋台の料理を食べ尽くした。
私も楽しかったからか、普段からは想像出来ないくらい食べて食べて、初めてお腹がはち切れるかと思った。

バロンと一緒だと、些細な事でも本当に楽しい。
彼と過ごす毎日が、常に1番幸せな日に更新されていくようだった。

……
…………。