「あ、の……貴方は?
海で、溺れたんですか……?」

私の中に過ぎる、”まさか”という思い。

すると。
難しい表情をしていた彼が、私の質問に頭を抱えながら答える。


「……思い、出せない」

「!……えっ?」

「……。
何も、思い出せない……」

「えっ?……ええっ!?」


な、何も思い出せない……って。
それって、記憶喪失って……事?


突然の出会いと出来事。
私は、一瞬言葉を失ってしまった。


ーーーこれが、私と彼の出会い。

この出会いが、独りぼっちだった私の運命を変えてくれた。


そして私に、最初で最後の恋を教えてくれる。

優しくて、厳しい、私の召使い。