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「え?バロンさん?
私共にも気さくに声をかけて下さいますし……」
「あ、この前。
稽古に付き合って下さいましたよ!」
「私なんて悩みの相談まで乗って頂きました!」
ーーすごい!
警備のみんなが次々と「私は!」「私は!」って話してくれて、さっきの女性陣以上にバロンを慕っている事が分かった。
「あ、ありがとう!もういいよっ!」
終止がつかなくなりそうで私はそそくさとその場を離れると、改めてバロンの凄さを実感する。
すごいなぁ。
女性からも男性からも憧れられるなんて……。
少なくとも、この別荘内にはバロンを悪く言う人は一人もいなかった。
けれど、尊敬する気持ちと同時に私はちょっと不安になる。
その彼はーー。
私達が見ているバロンは、本当の彼なんだろうか?……って。