「っ……はぁ~っ」
パタンッという扉の閉まる音を聞いた直後。
私は一人になると、ベッドに倒れ込んで枕を抱えた。
バロン。
彼の名前を聞くだけで、不思議な呪文みたいに私をドキドキさせる。
完璧そうに見えて、ちょっと抜けていてたまに無邪気だったり。
猫みたいに甘えてきたり。
っ〜〜!
なんで、いちいち私のツボを押さえてくるのよ!!
心の中で文句を言いながらも、ふかふかのベッドの上でゴロゴロしている私の表情は緩みっぱなしだった。
しかし、ふと思う。
よく考えたら、自分は自分の傍にいるバロンしか知らない。
彼は他の人といる時や休みの時は、どうしているんだろうか?……と。
気になり出したら止まらなくて、私はベッドから弾むように起き上がって部屋から飛び出した。
みんなに聞いてみよう!
もしかしたら私の知らない、見た事のないバロンの一面が分かるかも!
こんなにドキドキワクワクしたのは久し振り。
この日から、私のバロン観察が始まった。