「っ……やめてッ。
バロン!もう、いいからッ……!」

バロンが本当に私の為に怒ってくれているならーー。
その怒りの元が私の事なら、きっと私の言葉が届く筈だ。

そう信じて、背をギュッと抱いたまま私はバロンに想いを伝え続ける。


「約束、したじゃないっ。
明日には……っ、私の元に戻ってくれるんでしょう?
……記憶が戻るまで。
私の誕生日まで一緒にいるってっ……約束したじゃないッ!」

「……」

「……傍に、いて?
遠くに行かないでよッ。バロン……っ」

貴方は真っ暗闇で私が見付けた、唯一の光。
バロンがいなくなってしまったら、未来どころか明日さえ、もう何も見えなくなってしまうだろう。

想いと共に、涙がまた溢れてくる。
私はひっくひっく、子供みたいにしゃくり上げて泣いた。


涙が頰を伝って、地面にポタポタ落ちて……。
バロンの足がゆっくりと、リーダーの喉元から離れた。