こんな口を利いて、色んな意味で取り返しのつかない事になるかも知れない。

モニカ様のお父様はアルバート様の弟であり、仕事でも大切なパートナーだと聞いている。
そんな大切な存在とも言える親戚との仲を拗らせ、ローザにもきっと説教されて……。

ーーううん。
絶対に迷惑をかけてしまうだろう。


でも。
今言った事を訂正したいとは、思わない。

目の前で黙り込むモニカ様を見て、「全く心が痛まないか?」と言われたら嘘になるが……。
後悔の気持ちはなかった。


「バロンは、渡せません。お引き取り下さい。
……失礼致します」

すっかりと勢いを失くしたモニカ様。
戸惑った表情の彼女に私は軽く頭を下げると、もう顔を合わせないようにその場を去ろうと歩き出した。


しかしーー。


「きゃあッ……!!」

背後から聞こえた叫び声に、状況は一変する。

「え?」と、振り返った私の目に映ったのは、モニカ様を羽交い締めにして口を塞ぐ……。

怪しい男達の姿だった。