【短】放課後の恋人



 どうしようと思っていると、頬にキスされていた。


 優しくて、でも脅えるように震えていて。


 樹くんの温もりがわたしを包んで離さない。



 唇が離れると、

「絶対に好きだって言わせてみせる」

「わたしは手強いわよ」

 そんな会話を交わして笑い合う。



 学校一のイケメン王子が、わたしに夢中。


 滅多にない経験。
 少しだけ焦らしたくなる。


 わたしはもう、樹くんに夢中だった。



「七海が好きだ」



 わたしも、樹くんが好き。


 でも、まだ教えてあげない。
 もっと、好きになって欲しいから。
 夢中になって欲しいから。



 ――――わたしも、好きになりたいから。