【短】放課後の恋人



「好きなんだよ、七海が!」



 真っ直ぐに気持ちをぶつけられて、靡かないはずがない。


 わたしは、多分好きなんだ。
 好きな気持ちに正直になれずに、避けていた。


 ずっと……。


 忘れ物なんてしないように、慎重になったのは樹くんのせいだ。



「そんなにわたしが欲しいなら、靡かせてみせればいい」



 想いとは裏腹に、そんな言葉がわたしの口をついて出た。



「わかった」



 そう言うと、右手はわたしの手を絡めとるように握る。左手は黒板に押し付けたまま。


 近づいてくる彼に、鼓動がおかしくなった。
 ふわりと、彼の前髪が触れた。